

STUDIO SYSTEM LAB EMT251
■■■STUDIO SYSTEM LAB EMT251機材情報■■■
STUDIO SYSTEM LAB EMT251は
鉄板式のEMT140、LEXICON Mode1224などと共に
リバーブの名器として、プロのスタジオで使われています
国内のスタジオに導入されはじめたのは1980年代前半
国内音楽制作における音楽ジャンルが歌謡曲を中心とした作品から、
ポップス~フォーク作品と幅広くなっていく時代の中、
エコー・ルームと鉄板によるリバーブでは
何か物足りなさを感じていた頃に、安定した音質&S/Nの良いリバーブである
EMT251は大変魅力的でした。
EMT251はリバーブを根幹とした複数の機能を持ちますが、
代表的なプログラムの詳細を順に書いていきます。
●REVERB
基本仕様はリバーブ・タイムが0.4-4.5sに対してBASS(300Hz)×0.5-2、
MID(4kHz)×0.28-0.85、TREBLE(8kHz)×0-0.85でベーシックな設定を行い、
レバー操作によって3周波数帯域で8ポジションのEQ的な音作りができます。
さらに、L/C/Rに0-80msの一次反射音を設定し、
それをディスプレイで確認できます。
設定したリバーブの質感を聴覚と視覚で確認しながら試行錯誤できるのは
大きな利点でした
音質的な特長としては、当時のデジタル技術の中では量子化ノイズが少なく、
とてもきめ細かな音場感を表現できていたと思います。
LEXICON 480と比較するとプレートよりはラージ・ホールに似た音質で
実音とリバーブ感がうまく分離し解像度が高いといった感じでした。
当時のルーム・エコーや鉄板ではリバーブ処理をすると全体の
サウンドにクリアさが欠けると感じられましたが、
EMT251ではクリアで広がりのある音場を作れました。
具体的には長めの時間設定とリバーブのリターンの高城を少しブーストし、
ストリングスに独特の広がりを持たせた音作りに活用していました。
さらに今では当たり前になっていますが、短い時間設定による音作り
(リバーブ・リターンの低域感を上手に使った音場表現)も特筆すべきです。
●ECHO
4/16/80/440msのディレイ音がL/C/Rに設定でき、
ループさせることでエコー感を簡単に作ることができます。
EMT251以前はアナログ・テープを使ったエコー・マシンを
ギターや歌の隠し昧に使っていました
●NON LIN
最大350msのREV Decayによりカットオフ的なリバーブ感を作ることができます。
当時リッキー・リー・ジョーンズのアルバムで歌にNON LINを使用した作品があり
その音作りを参考にシンプルな楽器編成のときに歌にかけて、
リバーブでもディレイでもない不思議な音場を作ることができました
●SPACE ECHO
リバーブ設定時間が4倍となり、最大18秒のリバーブレーションが作れます。
デジタル・リバーブならではの長いリバーブ・タイムを活用した音作りは、
特殊なエフェクト効果として多用していました。
音質的にはルーム・エコーと鉄板の中間といった感じであり、
宇宙的な音場感を表現するにはこの機種しかできないことだったと思います
●SPACE&D-REV
リバーブ・タイムが4倍となり、最大18秒となります。
ドップラー・ピッチ&ピッチ・バリエーションによりフェージング効果を
伴う音場感をえることができます。
現在の音作りの大半がタイト&ドライであると感じます。
コンプによる独特のエネルギー感で作られたストレートでリ
アルな印象のサウンドは、メッセージの強い音楽を表現してきました。
ゆえに、歌などに少し長めのリバーブで色付けなどすると、
古く感じてしまいます。
しかし、そのような流行を経た今、リバーブによる音作りを
再度見直す必要性を感じます。
録音技術の進化により、エンジニアは無限のサウンド表現力を入手できる
環境にいるからこそ、常に新たなサウンドの提示が必要だと思います。
各楽器の持つ音色(表現力)をできるだけデフォルメしつつ、
録音芸術などの古い言葉になりますが、本来表現されるべき音場感を
表現する、そのときにこそ、EMT251が音楽制作の現場で
活躍することを祈りたいと思います。
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