Audio Damage - Quanta
グラニュラー・シンセサイザー、Audio Damage『Quanta』
Pluginboutique様より製品をご提供頂きましたのでレビューして行きたいと思います。
この場をお借りしてPluginboutique様並びに関係者様に感謝致します。
Audio Damage『Quanta』はカラフルでアナーキーなエフェクトで知られる米国のデベロッパーAudio Damageの4番目のバーチャル・インストゥルメント
単なるグラニュラー・シンセサイザーではなく、アナログとデジタルの技術をうまく融合させた、ハイブリッド・シンセサイザーです。
独自のデザインとワークフローを採用しており、その主な目的の一つは、グラニュラー・シンセシスという不可解なコンセプトを、簡単で親しみやすいものにすることです。
同時に、パッド、ドローン、アンビエンスなど、従来のグラニュラーに関連したサウンドに特化した、サウンドデザイナー向けの本格的なシンセサイザーであることも目指して制作されたようです。
Audio Damage『Quanta』は「グラニュレーター」、「アナログオシレーター」「ノイズジェネレーター」の3つの音源を融合させた、ステレオ10ボイスのポリフォニックシンセサイザーです。
グラニュレーターは、モノラルまたはステレオのWAV、AIF、OGG、FLAC、MP3ファイルをドラッグ&ドロップで読み込むことができる、グラニュレーターサンプルプレーヤーです。
インポートされたサンプルはノーマライズされ、Quantaのプリセットに取り込まれ、リアルタイムに「グレイン」に切り分けられます。
Position、Grains、Length、Tuneの各ノブは、グレインの再生を開始するサンプルのポイント、1秒間に生成されるグレインの数(1ボイスあたり最大100個)、グレインの「ウィンドウ」サイズ(1~1000ms)、各グレインのサンプル再生速度(ピッチシフトが発生)をコントロールします。
これらに加えて、ボリュームとグレイン再生方向のコントロールには、それぞれ関連するRandomノブがあり、設定された範囲内で生成されたグレインごとにパラメータを変化させるために使用されます。
このランダム化はQuantaの特徴の一つであり、生成されるサウンドに有機的な瞬間ごとの変化を与えます。
同様に重要なのがシェイプコントロールで、10種類の固定フェードイン/アウト、ボリュームエンベロープ(ランプ、カーブ、スクエア、トライアングルなど)の1つをすべてのグレインに適用し、グレイン同士のつながり方や重なり方を変化させます。
注目すべきは上向きのランプとカーブのシェイプで、グレインがまるで逆再生しているかのように聞こえます。
Quantaのアナログオシレーターは、独自の信号経路を通ってフィルターに出力されるだけでなく、グラニュレーターにも並行してルーティングすることができ、グラニュレーターのデジタル性とは対照的な役割を果たしています。
シンセ全体から見ると補助的なデバイスのように見えるかもしれませんが、実際にスイッチを入れると、かなりの変化をもたらします。
アナログオシレーターは、コントロールの面ではグラニュレーターよりもシンプルで、プログラムも非常に簡単です。
Shapeノブは波形をサイン波から矩形波、ノコギリ波へと変化させ、Pulse Widthは矩形波の幅を調整。
ピッチはTuneノブとFineノブで行い、最大で2.5オクターブのレンジを上下させることができます。
アナログオシレーターは、サブトーン、ハーモニックなテクスチャー、スムージングレイヤーを追加するのに適しています。
Grainsセクションとその素晴らしいランダマイザーによって、S&Hスタイルのサウンド、奇妙なフェイク・ユニゾン、不気味なドローンなどにを作り出すことがあると思います。
ノイズオシレーターについてですが、レベル以外のコントロールはカラーのみで、反時計回りに回すほどホワイトノイズから次第に暗い音質になっていきます。
また、サンプルがロードされていてもいなくても、アナログオシレーターとノイズオシレーターの出力は、ドライ信号と並行してグラニュレーターに送られ、同じようにグラニュラー処理されます。
さらにユニゾン・モードもあり、最大10ボイスを重ねてモノフォニックに演奏することができます。ボイスのデチューンはTune Randomパラメーターとモジュレーション・マトリクスの様々なルーティングで行います。(下記参照)
グラニュレーターとオシレーターからの信号は、フィルターセクションで合流します。
ここには2極または4極のマルチモードレゾナンスフィルターが装備され直列または並列に配置することが出来ます。
ハイパス、ローパス、バンドパス、ノッチの各モードが用意されており、カットオフ周波数は水平方向に、レゾナンスは垂直方向に、2つのノード(丸数字)をドラッグしてグラフィカルに編集します。
Audio Damageのフィルターこれまでのプラグインで定評がありますのでその素晴らしさはお分かりいただけると思います。
Quantaはモジュレーションにも力を入れていて、モジュレーションマトリックスにより、14のソース信号をシンセ全体の36のターゲットパラメータに割り当てることができます。
Quantaのインターフェイス上でパラメータを動かすと、そのターゲットがマトリクスのリストの一番上に自動的に表示され、アサインすることができます。
ソースにはAudio Damageの新しいフレキシブル・エンベロープ・ジェネレーター(FEG)とフレキシブル・LFO(FLFO)、サンプル・アンド・ホールド・モジュール、ランダマイザー、そして通常のMIDI信号(ベロシティ、ノート、モッド・ホイールなど)が含まれていますので様々なモチベーションを行うことができると思います。
Quantaには4つのフレキシブル・エンベロープ・ジェネレーター(FEG)が搭載されており、カスタム・エンベロープ・シェイプを完全に自由に構築することができます。
好きなだけエンベロープポイント(ノード)を追加し、ノード間の隣接するラインを曲げ、必要に応じてループ・レンジを設定して、エンベロープ内でLFOスタイルのアクションを実現することも出来るようになっています。
各セグメントの長さは0msから10sの間で設定できます。
2つのフレキシブル・LFO(FLFO)の「フレキシブル」の意味は、フェーズ、シェイプ、スキュー、ワープの各コントロールにあります。
これを使えば、定義できる波形の範囲は無限に広がります。
同じウィンドウを共有するS&Hモジュールは、FEGやFLFOのいずれか、またはランダムな信号をソース入力として受け取ることができます。
これらの、FEG、FLFO、MATRIXは画面上部左側のアイコンをクリックすることによって切り替えることができます。
デフォルトではSAMPLEが表示されボイスごとのプレイバックとランダムなグレインの位置や範囲を視覚化しリアルタイムで表示しています。
このようにQuantaは通常は難解なグラニュラー・シンセシスを比較的簡単にエディットすることが出来るようにしています。
グリッチな楽曲のために短いサウンドを作ったり、より滑らかなメロディやサスティーンのためにグレインを伸ばしたり重ねたりし、それをアナログとノイズ・オシレーターとデュアル・フィルターで仕上げ、暖かさやサーチュレーションを加えたりすることも出来るようになっています。
パッド、キー、テクスチャー、ドローン、斬新なリズム、FXなど、多機能で個性的なインストゥルメントです。
筆者が音楽制作とビデオトラックを制作したAudio Damage『Quanta』のPlugin Boutique Japan公式CMです。
実際にプラグインの効果を確認出来ますのでご覧下さい。↓
こちらはコメントなしのバージョンです。
じっくりサウンドのみのを聞きたい方はこちらをどうぞ ↓